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2007.10.28

アイレウ出張

プロジェクトサイトの事前視察のため、1泊2日でアイナロ県・マヌファヒ県へ出張。
島南側、マヌファヒ県の県都サメまでは、ディリから山道をゆられること6時間。
(6時間で島を縦断というところからも この国の小ささが伝わると思われ)

東西に細長く起伏に富んだ地形のティモールは
海岸から内陸に入るとすぐ山道、という感じで
平地の少なさも、農業自給率の低さの一因と実感する。

Aileu沿岸部から見える山々は、乾季のせいか
木材・薪収集のために伐採されたか
茶色い山肌ばかりが目立つ、
サバンナ気候かと見紛うものが多い。
それが山間に入ると、一転、
うっそうと緑濃いが木々が連なり
霧が立ち込める別世界が広がる。
ひんやりと湿った空気が心地よい。

今回の目的は残念ながら山歩きではなく、NGO関係者とともに
助産施設を訪問し、助産婦さんやクリニック管理者に話を聞くこと。

人口の約半分が18歳以下、というこの国は、どこへ行ってもやたらと子どもが多い。
7.8人(2006年WHO資料)という驚異的な出生率を記録する反面、
出産時の妊婦死亡率 0.66%、1歳未満の乳児死亡率も8.8%と非常に高い。
これは助産婦不在&不衛生な環境での自宅出産、
(近代医学の観点からは)誤った伝統的医療措置などに起因するとされ
頻繁な出産で母親の体力・抵抗力が低下すれば、そのリスクはさらに高まる。
また厳しい生活環境・衛生・栄養状態を反映して、13.4%もの子供が
5歳の誕生日を迎える前に亡くなっていく。この傾向は村落部で特に顕著で、
都市部の5歳未満死亡率7%対し、村落部では15%にものぼる。
(数値は2007年ADB経済社会開発レポート、2006年WHO資料、
2006年UNDP『人間開発報告書』、2005年Unicef『世界子ども白書』より)

こうした状況から、母子保健に取り組むNGOは多いが、
カソリックがしっかりと根付いたお国柄(人口の90%と聞いたことがある)ゆえ、
避妊を想起させる「Family Planning」は受け入れられづらい。
そのため、いまも伝統的慣習に従う保守的な村々において、
人々の意識を変えていく取り組みが、少しずつ、でも着実に進められている。

BFHFたとえば家族計画についても
出産自体は否定せず、
ただし次の妊娠までの間隔をあけて
健康な体で元気な赤ちゃんを産みましょう、
という「Family Spacing」の概念が
取り入れられている。

CHC(コミュニティ・ヘルス・センター)など
医療施設での出産奨励も、重点項目のひとつ。
来診習慣がない故の不安感を軽減するため、
来たくても交通手段がない患者の往診のため
助産婦さんが毎日のように村々をまわって、定期検診の重要性を説明している。

calender訪問したCHCの助産婦さんは
「なにしろ妊婦が多いので、
見落としのないように」と
手作りの出産カレンダーを作って、
出産予定日の月のポケットに、
妊婦さんの基本情報を書いたメモを
入れてあるのを見せてくれた。


delivery beds助産院での受け入れ体制も、
たとえば西洋式分娩台の横には
古くから当地で用いられてきた
木製ベッド+ロープが並び、
家族が泊まれる部屋を用意して
自宅出産に近い状況を整えるなど
施設出産への抵抗感をおさえるための
様々な配慮がなされている。

ちなみに壁に描かれた絵は、日本のNGO
シェア=国際保健協力市民の会
作成した保健教育フリップチャートからのもの。
保健分野ではNGO間の連携も盛んで、
保健教材の共有や、トレーニングの共催なども進んでいる様子。


特に意識変革を伴う社会開発分野において
必要なのはdevelopmentではなくchangeだ、とはよく言われるが
母子保健を含む保健・衛生分野も、そのひとつであると思う。
伝統的な慣習や思考がいまだ色濃く残る土地で、上からのお仕着せではなく、
人々が自らの選択で行動を変えるよう仕向けるには、
まず彼ら自身が問題に気づき、解決策を考えるしか抜本的な対策はないように感じる。

同行してもらったNGOスタッフも、
「じれったくて、つい自分で答えを言いたくなることもある」と笑いながら
辛抱強くmobilize、motivate、mentorを続けていくのが、結局は最良の策なのだと。

机の上の情報でしか状況を把握していない政府・県行政担当者にあたってしまい
やれやれ先は長いなあと肩を落としかけることもあるけれど
現場で自ら考え、精力的に活動する助産婦さんやスタッフから話を聞くと
着実に、変化の芽が出つつあるのだと信じられる。

1泊2日、駆け足の出張だったけれど、やはり現場に出なくては、と思う反面、
もっと上の層をどうにかしなくては、と色々と課題を考えさせられた、実り多い訪問だった。
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